評価、スループット、クリティカルパス……。
職業病でしょうか。先日体験したことを是非お伝えしたい。そんな瑠伽です。
私、通勤にはバスを利用しています。都内のバスは数分間隔で来ますからとても便利です。ただ、時々そうでない時があります。
大雨、雪、強風……。
天気が悪い日にはバスが全然来ません。
始発の停留所。天気が悪い日は長蛇の列です。バスが到着するや、次から次へとバスに乗り込んで行きます。
この時に起きるお約束の事象があるのです。
同じ系統のバスが2台、3台。時には4台並んで入って来ることがあるのです。
当然のように最初のバスには人が乗れなくなるまで乗車しますし、乗車させます。2台目以降のバスにはほとんど乗客がいません。3台目となると運転手さんだけだったり。
最初のバスは停留所でも大変です。窮屈そうに人波を掻き分けながら降車する人、降りた人の数に合わせて乗車する人……。
そのバスを眺めている2台目、3台目のバス。
それを見ていて思い浮かぶ単語。
スループット :ある時間単位で処理できる量。
クリティカルパス :工程と工程を結んでそれ以上縮めることができない経路。
例えば東京、大阪、名古屋を結ぶ最短となる線路。クリティカルパスは、東京-名古屋-大阪 の順。
先頭車両だけ切り取って見てみます。
乗車率200%で処理能力が高い?
同じように2台目だけ、3台目だけ切り取って見てみます。
2台目の車両は、たまに降車する人と先頭車両に乗り切れない人を乗車させています。少しは仕事をしていそうです。3台目は乗る人も降りる人もいません。
じゃあ仕事していない?
並んでいるバス3台をまとめて見てみます。効率が悪いことがわかります。
3台のバスに平均して人を乗せたら「スループット」は高まりそうです。
それでは、思い浮かべた単語の振り返りです。
それぞれのバスに対しての「評価」です。
切り口を間違えて評価をしてしまうと、「事実と違う評価」をしてしまう恐れがありそうです。
仕事を大きく抱えていること、その抱え込んだ大きな量を維持していることは、その事象だけでは褒められることでは無いのかも知れません。3台並んだバスを統括するマネージャは居ませんが、私達の仕事であれば必ずマネジメントしてあげることで全体最適を図るようにしています。
プログラマーがいつまでもコーディングしていたら、テスターは何もできずに遊んでしまいますからね。そのことで「テスターが遊んでいる」とは評価できません。
さて、今回のお話にも続きがあります。
私、バス会社のホームページを通じて、ある提案をしてみました。
『始発の停留所に同系統のバスが3台以上並んだら、最初のバスは次の停留所に向かう』と言った内容です。
想定される効果も書きました。
最初のバスは始発の停留所で乗車させていないので次の停留所では空車状態です。次の停留所で待たされている方はスムーズに乗車できます。また始発の停留所より他のバス停で並んでいる人は少ないですから、最初のバスの乗降時間は他の停留所でも短く済むと予想できます。
2台目のバスは結局乗車率200%かもしれませんが、最初のバスが以降の停留所で待っていた人を乗せていますので、新たに乗ってくる人は少ないはず。終点に向かって乗車率は緩和され、停車時間も短いだろうと期待できます。
スループットは高まり、待ち時間も少ないクリティカルパスを構築できそうです。
私の提案が受け入れられたら、全体として目的地に早く着くことが期待でき、お客様にも喜ばれそうです。私は家族やご近所さんに、「この3台スライド方式は私が考えたのだよ!!」と自慢できそうです。
一週間ほどして返信が着きました。
「不採用」
日本の道路運送法では、路線バスは例外を除き乗車拒否してはいけないのでした。残念。